27歳で緊急脱出!仕事が嫌なので0円でセミリタイア!!

2020年6月に5年続けた仕事が嫌になり資産がロクにないまま勢いで辞めた人間の末路をお楽しみください

急に短編小説を投稿する無職

どうもポテトです。

おい、みんな!今日の僕は一味違うぜ!

僕が作った短編小説をお届けしようと思う。

つまり100%フィクションだ。

 

では暇な人だけお付き合い頂こう。

 

タイトル「無職の俺とエリートの彼女」

 

パン! パン! パン! と音が響き渡る。犬も猫も飛び跳ねて嫌がりそうな臭気、薄暗い空間の中で俺はその音を聞いていた。

 

そう俺が今一番ハマっているゲーム「格闘娘」のプレイ中である。断じてエロい音ではない。何でもかんでもすぐエロに結び付けて考える奴っているよな……。

 

だがこの「格闘娘」というゲームはよくできているなと思う。まず絵のクオリティがヤバイ。昔のゲームとか二頭身ぐらいで全然そそらない絵だったくせに、これは八頭身ぐらいあって、現実なんかよりよっぽど魅力的だ。世の中も進化したものだ。

そして格闘という口実で、身体の至る所をぶるんぶるん揺らしてくる演出はとても卑怯だと思う。そんなことされたら僕ちん逆らえないよ☆

 

俺がそんな風に顔をにやけさせていると、唐突に音が鳴る。ピンポン!

誰か来たようだ。

唐突になった音だが、俺は誰が来たか、おおよそ予想がついた。

「っち……今家には誰もいませーん! また来年きてくださーい!」と苦し紛れに僕が言うと「あれー? おかしいなー? せっかくポテ男君が好きな格闘娘の漫画の続き持ってきたのになぁ! じゃあ帰るね!」と幼い少女を思わせる声が響く。

 

それを聞いて俺は慌てて、家の扉を開ける。ッガタ! ッガタ! ッガチャ!

「嘘嘘嘘! ちゃんといるよ! 健康的な無職は今日もちゃんといる!」そう俺が訂正すると、にんまりとした表情で扉の前に立っていた少女が一人。この女がクリ子だ。

 

クリ子は聡明で可愛らしく、誰にでも人気がある。そのスペックを一文字でまとめるならエリートだ。無職の俺からすると、どれだけ登っても高すぎる高嶺の花だと思う。

 

だがそんな俺はクリ子のことが苦手だ。無職の俺に偏見なく他の者と変わらない扱いで接してくれる。それが無職の俺にとってはとても不快だ。

むしろ気を使って遠ざかってくれたほうがよかった。だって俺なんかのために時間を使わせるのも、周りに変な噂を流されたり、あいつに迷惑をかけるのも嫌だった。

 

無職は一人で完結するからこそ、無職でいられると俺は思っている。人が絡むと人と比べてしまい、罪悪感や無力感、その他モロモロの悪感情に支配されてしまうからだ。

 

人に迷惑をかけたくない、自分と接する価値はない。そんな風に思ってしまうのもクリ子が俺に関わってくるからだ。そうやって自責だか他責だかわからない感情がいつも俺にはあった。

 

だがそんなことお構いなしにクリ子は今日も俺のところへ来た。

「はい、これだよ!」クリ子はそう言うと俺に一つの紙袋を渡してきた。中を見てみると一冊の本があった。格闘娘の新刊だ。このゲーム人気すぎて、ついには漫画にもなったんだよなぁ。

 

そして無職&引きこもりのアビリティを備えている俺は当然新刊を手に入れるすべもなく、悶々としていたのだった。

この格闘娘の漫画だけはなぜかネット販売されるのが一か月遅れるため、いつもこうやって時期になるとクリ子に速報として届けてもらっている。

 

「礼を言う、だが今日はもう帰れ。俺と関わると災いが起こるぞ」そう言って、得意の中二病セリフで俺はクリ子を威嚇した。

「あ、後これも持ってきたよ」クリ子はそう言い、今度は風呂敷に包まれた小さな箱をもってきた。弁当箱だった。

この女は気が利きすぎる。周りの人から好かれるのも分かる。俺だったらただの友達に絶対こんな気は利かさないしな。そう思うと俺が周りから好かれないのもわかる。いや友達ってそんなもんでしょ? 俺、性格悪くないよね?

 

「そんなもんはいらん。そこらの道にいるホームレスか無職にでもあげておけ。」これ以上借りを作りたくない俺は丁重に断ることにした。言い方が丁重かどうかは怪しいが。

 

「ポテ男君の他にここらへんは無職もホームレスもいないよ! だから受け取って!」そうクリ子は俺に一生懸命、弁を説いた。うん、その意気込みはいいけど、俺ホームレスじゃないからね? ちゃんと家に住んでるよ?

 

「もういいから。余計なお世話! じゃな!」そう言って勢い良く家のドアを閉めようとした瞬間。

「イタッ!」叫び声がする。

クリ子が引き留めようとして細くて華奢な指を挟んでしまったのだ。

 

俺は一瞬で動揺した。

「だから言っただろ! 俺と関わると災いが起こるんだよ! もう関わるな!」動揺を隠したい一心で俺は大声で怒鳴り、扉を勢いよく閉める。こんな時だけプライド高い俺ってカッコ悪いよな。なんのための無職なんだよ。扉を閉めた後そう思いながら俺は空を見上げる。家の中だけど。

 

可愛い少女の指挟み事件があって10分後――やっぱり謝ろう。そう俺は思った。

 

こんな中途半端に謝りにいくのは格好が悪い。わかってる。でもやっぱり悪いことをした時は謝るべきだ。悪いことをしたのに謝らない人間。悪いことをしたのにそれを隠そうとする人間。そんな人間と関わるのが嫌で俺は仕事を辞めた。そんな俺があいつらの同類になるわけにはいかない。そう思ったんだ。

 

まだ近くにいるはずと走ってクリ子を探す。あいつの行くところはよく知ってる。

手あたり次第にクリ子が行きそうなところを駆けずり回る。日ごろまともに運動してないから足がもつれてこけそうになる。無職だからだな。無職ってほんとだめだな。

 

10分ほど駆けずり回って、無職の俺が息切れしだしたその時だった。

「いやっ! やめてください!」路地裏のほうから大きな悲鳴が聞こえた。

 

そこにいたのはクリ子ともう一人、誰が見てもわかりやすい美少女がいた。

二人は三人組の男たちに絡まれているようだった。

 

「ちょっとぐらいいいじゃねぇか! 俺たちと一緒に楽しもうぜ! ヒャッハー!」と男の一人が言う。今どきヒャッハー! とか言うやついんのかよ。今ってちょっとして世紀末なの?

 

無職の俺がビビりながら様子を見ていると、どうやらクリ子は横の女の子が無理やりナンパされているのを助けにいったら、二人でナンパされる被害者になったらしい。なにその餌に釣られた魚みたいになってんの? 大漁なの? そんなのヒャッハー! じゃん。

 

だがクリ子はエリートだ。そんな世紀末なモヒカン男にも怯えたりはしない。普段は可愛いくせに凛としてる時はギャップな女なんだ。昔からそうだから、よく知ってる。

 

「離してください! その子も嫌がってます!」モヒカン男が知らない女の子の腕を掴んで離そうとしないのでクリ子が止めに腕を振り払おうとする。

 

「うるせぇ! このアマ!」モヒカン男がそれに逆上し、クリ子の手を逆に振り払ったその時。クリ子の手から少量だが血が流れた。モヒカン男がしているトゲトゲした腕輪が傷つけたのだ。

 

クリ子の腕から血が流れた――それを理解した瞬間、駆け出していた。

猛烈な勢いでタックルする無職の姿がそこにはあった。多分こんだけ気合入れてタックルしてるのタックル部と俺ぐらい。いやタックル部ってなんだ?

 

モヒカン男は少し怯んだかのように見えたが、大してダメージは通ってない。だって俺無職だもん。タックル部じゃないもん。いや、だからタックル部ってなんだよ。

 

「はぁ、なにこの無職? 俺たちの邪魔する気?」そうモヒカン男が威嚇してくる。いやなんで俺が無職ってわかるの? そんなに無職臭いかな俺って……。

 

だが今の俺はそんなちゃちな威嚇では怯まない。

「うるせぇ! 黙ってろ! 世紀末野郎! お前邪魔なんだよ! 俺は今から謝るんだよ! この女に! 俺が謝るのにお前が邪魔だ! 消えろ!」そう言って今までの人生で精一杯の怖い顔を作って威嚇する。

 

だがモヒカン男は動じない。

「謝るってなんですかー? 女に謝るとか恥ずかしくない? ぷぷぷw」モヒカン男とサブモヒカンたちが大きな声で嘲る。

 

「関係ない。女だからとか、恥ずかしいとか、恰好悪いとか関係ない。悪いことをしたのに謝らない。それが一番恥ずかしくてやっちゃいけないことだ。」俺は静かにそう言った。それはさっきすぐに謝れなかった自分を戒める意味を込めてそう言った。

 

周りに人がいるとか、クリ子がそばにいるとか、そんなことどうでもよくなっていた。ただ自分の心の内を静かに明かした。そんな感じの言い方だった。

 

「はー!? なにカッコつけちゃってんの? ブッコロすよ?」なおも、モヒカン男たちが威嚇し、ついには無職で高貴なる俺の頬に殴りかかろうとした。

 

――「そこでお前たち何をやっている!」頼もしく重々しい男の声がした。

モヒカン男の拳が俺を捉えた瞬間、町の警官がやってきてくれたのだ。おじさん、ちょっと遅いよ……。もう僕殴られちゃった。オヤジにもぶたれたことないのに。無職でよく俺ぶたれてないよな。

 

警官が来たことを知るとモヒカン男たちは急ぎ足で路地の暗がりのほうへ逃げていった。

 

「ありがとう……ございます……」殴られた頬をさすりながら俺は警官にお礼を言う。謝るのが遅れて後悔したところだ。お礼だってちゃんと言うぞ!

 

「あぁ! またいつでも呼んでくれ! おまわりさんは正義の味方だからな!」そう言って颯爽と警官のおじさんは帰っていった。いやおじさんカッコよすぎだろ。その割に助けに出ていって殴られただけの俺って……。使えなさすぎだろ、無職かよ。無職だった。

 

助けた知らない女の子も会釈だけして、足早に去ってしまった。なんか去る時に俺の顔をじっと見ていたのは気のせいだろうか。

 

だがようやくクリ子と二人っきりになれた。

よし謝るぞ、俺。

「あの……なんだ……さっき本持ってきてくれてありがとな。それと……弁当も。後……指も挟んでしまってごめん」言った! やっと言えた! 無職の俺もやればできるじゃん!

 

そう言って安堵して、息を吐いて目をつぶってその目を開いた時――そこにはにっこりと笑う可愛い少女の姿があった。

あぁ、これでよかったんだ。謝るってすげぇな。謝るだけでこの景色が見られるなら俺は何度だって謝ろう。無職でどうしようもない俺でも、そう心の底から思った。

 

「ちゃんと助けてあげられなくて、ごめん。だって俺無職だから……タックル部でもないし……」そう言い訳してさらに謝る俺。

 

「ううん! ありがとう! ポテ男君が来てくれてすごく嬉しかったよ! それとなにタックル部ってっ!」そう言ってクリ子は俺のことを笑ってくれた。その笑顔を見て、俺は今日が一番いい日なんじゃないかと思った。人にケガをさせて、男に殴られた日が一番いい日ってのもあれだが、所詮無職の生活ランキングだ。この笑顔だけあれば無条件で優勝でいいだろう。

 

「でも、俺たち運がよかった……。もし途中で警官のオッサンが来てくれなかったら、俺たちもやばかったかもな」そう俺が言うと。クリ子は一瞬目をまんまるとさせた後、こう言った。「そうだね! でも私はポテ男君が助けてくれるって信じてたから! 全然怖くなかったよ!」なにこの信頼感。俺無職だよ? 忘れてる?

 

そんな風に謎の信頼感を得ている俺はなんか恥ずかしくなって、先に帰ることにした。

もう言いたいことは言ったし、もういいだろうと思ったのだ。

 

その帰り際、先ほど助けてくれた警官のイケオジに出会った。

「先ほどは助けてくれてありがとうございました。もしあなたが来てくれなかったら僕ボコボコでしたよ。ははは。」そう俺は再度、イケオジにお礼を言った。また会った時お礼を言うといいって社会のマナーで学んだからな。無職といえどマナーは学んできたのだ。

 

だがそれを聞いた警官はこんなことを言う。「あぁ、あれは偶然通りがかったわけじゃないよ。通報があったんだ。確かクリ子って女の子だったなぁ……」

 

その時俺は理解した。

クリ子が女の子を助けに行く前に、念のため警察に通報していたことを。ただの二次遭難じゃなかったのだ。本当に二次遭難したのは俺だけだったってわけだ。

 

自分が助けに行っても助けられないかもしれないことを、彼女は予測して、前もって人の助けを借りようとしてたわけだ。

 

俺とは違うな。そうやって、ちょっと自虐気味に笑う俺の顔は、自虐ながらも明るい顔をしていた。

 

「やっぱ俺は無職で――あいつはエリートだ」

 

(完)

 

終わりに

(恒例のあとがきです)

初めての僕の短編小説いかがだったでしょうか。

いやぁ、王道のストーリー展開っすなぁ。

とりあえず、人生で初めて物語書いた気がする。

これは僕の人生にとって大きな進歩かもしれませんね。

 

28歳無職がお遊びで無職小説を書くんです。

人生ってのはやっぱこういう風に浪費してなんぼだよなぁ……。僕は書き終えた感傷にしみじみと浸る。

 

ハードルを下げるために言うと、テンション上がって2時間でぶっ飛ばして書きました!(笑)

みんなが楽しんでくれるといいな!

ではでは!