27歳で緊急脱出!仕事が嫌なので0円でセミリタイア!!

2020年6月に5年続けた仕事が嫌になり資産がロクにないまま勢いで辞めた人間の末路をお楽しみください

無職が書く短編小説3

どうもポテトです。

みなさん!長らくお待たせしました!

無職小説――三作目のお披露目です☆

 

先日は読者の方から、こんなコメントを頂きました。

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いやぁ嬉しいですね。

小説なんてものは自分の妄想をさらけ出すようなもので、その羞恥に打ち勝つことこそが最初の関門だと言います。

こういった、応援メッセージを頂けると僕の無職小説も無駄じゃなかったなと思えます。

 

だって僕の小説は賞を取るためでもなく本を売るためでもなく、僕と読む人が楽しむためにあるのですから。

書いたことないからとか、どうせ自分が書くものなんて面白くないとか、そうやって殻に閉じこもらないでよかったと思います。

こういう感想が段々と増えてくれると嬉しいですね☆

 

それでは前置きが長くなりました。

 

今日も無職が綴る無職小説を――お楽しみくださいね☆

 

タイトル「僕のお父さんは無職です。」

 

――お父さんの仕事ってなんだろう?

 

僕が小学二年生のころ、友達とお父さんの職業について話をする機会があった。

周りの友達は、みんな自分のお父さんはサラリーマンとか消防士とか警察官とか、それぞれの職業についていることを誇らしく語っていた。

 

そんな子供たちがいる一方で、自分のお父さんがどんな仕事をしているか、知らない子供たちもそれなりにいた。僕もその一人だった。

 

その日から父がどんな仕事をしているか、疑問に思いながらの生活が始まった。

 

最初は素直に聞いてみた。

「お父さんはどんな仕事をしているの?」

お父さんは一瞬、目をまんまるとした後、微笑みながらいつもの訛りでこう言った。

「オラはもう働いてないんだあ! 仕事はしてもいいし、しなくてもいいんだあ!」

 

当時の僕はそういうものなのか? と少し疑問に思ったが、とりあえず当初の疑問は解決したため納得して、この話題は終わった。

 

次に自分が四年生になるころだった。

クラスのみんなでそれぞれ将来の夢を書いて発表会をしよう。そんな授業だった。

 

おそらく子供なりに将来を考えるための授業。そして皆がどんな夢を持っているかの共有や発表練習のための授業だったのだろう。

 

周りのみんなはサッカー選手とか医者とか様々なものを書いていた。

でも僕には書きたいものがなかった。

特にやりたいことがあるわけじゃなかったし、そもそもみんなが言っているものが具体的にどんなことをするか、全然わからなかったからだ。

ただ僕がなんとなくわかるのは、どれも大変そうということだった。

サッカー選手はサッカーが上手くないとなれないということはわかったし。医者は頭がよくないとなれないと思った。

そうやって考えていくと自分がなれるものというのが思い浮かばなかった。

 

だから僕にはその授業の光景が不思議でならなかった。

みんなはそんなにすごいものになれるんだろうか?そんなにそれらに努力を惜しまないほどに、そのものが好きなんだろうか。

今考えると馬鹿馬鹿しい授業でしかなかった。みんな具体的なことは何も考えず適当に決め打ちしていただけなのだから。

 

でも僕だけは本当に将来なりたいものを書いていた。

「無職」と。

僕のお父さんが無職ということは知っていた。

そのお父さんが毎日寝てゲームをして、ご飯を食べている生活をしていることを知っていた。

あの生活なら僕にでもできると思ったんだ。そしてお父さんは毎日が楽しそうだった。

そんな父に幼い僕は憧れていた。

 

でも僕が書いた紙を見て、友達はおかしいと笑った。

すごく大爆笑をしていたのを覚えている。

僕はそんな風に笑われるのが不快だった。

だって僕にはなにがおかしいのかわからなかったから。その感覚の違いはとても不快だったことを覚えている。

 

その日帰って僕は父にその日のことを話した。

父はまたいつもの訛りで微笑みながらこう言った。

「そりゃあ、当たり前だあ。オラみたいなやつは世間では蔑まれとるがなあ。すごいやつってのは周りから攻撃を受けるんだなあ」

僕はなるほどと思った。

確かにすごいやつは攻撃されることがある。頭がいい人や女子からモテそうな人は一部攻撃されたりしていることを見かけることがあった。

 

僕の父は優秀だからこそ、周りから攻撃されると言った。

だから無職という僕が掲げた夢も、みんなにとってはあまりに凄すぎたのだろう。

嫉妬に狂い、爆笑して僕を攻撃するほどに。

僕はそうやって四年生ぐらいまでは父のことがすごい優秀な人だと思っていた。

 

今思うと、ただ騙されていた。

あのオヤジはただの無職だった。

そう気づいたのが、中学生になった今の僕である。

 

今の僕は気づいている。自分の父がクズであることを。

 

まずあの糞オヤジは生活費を全て母に丸投げしていた。

結婚した当初は共働きだったらしいけど、今は母だけが朝から働きにでる。

そしてその朝、オヤジは起きてすらこない。

 

あいつが起きるのは、だいたい十二時頃だ。前日の夜に好きなアニメがあったり、ゲームに勢いが出ると十五時とかに起きてくる時もある。いややってること子供かよ。中学生の俺でも学校のために起きてるんだが。

 

そしてあいつは起きたらご飯を食べにいく。外食だ。そのお金どっからくるんだよ。錬金術? そんなわけない。あいつが錬金できるのはゲームの中だけだ。母が稼いだお金で悠々と外食していると思うと僕はイライラが止まらない。あいつなんてカップラーメンで十分だ。それが嫌ならカップ焼きそばだ。

 

そんな風にとにかく僕の父は怠惰だった。

そしてそれに正反対に母はよく働いていた。

僕はその不合理がおかしいと思った。

 

なぜ母はこんな理不尽を許しているのだろう。

普通なら離婚を考えてもおかしくないのではないだろうか?

そんな風に考えた時、僕は一つの後ろめたいことが思いついてしまった。

 

――僕のせいだろうか。

 

僕がいるから、母は離婚できないのではないだろうか。

母は優しい人だ。いつも僕や糞オヤジを気遣って生活しているように思う。

ちなみに糞オヤジも優しいは優しいが、あれはただ僕に興味がないか気弱なだけだろう。

 

もし僕のせいで糞オヤジと別れることができないのなら、僕はそんなの嫌だ。

僕のことは気にしないで、母は自分のことだけを考えて未来を決めて欲しい。

 

だってそうじゃないと僕が母を不幸にしているみたいじゃないか。

僕はそれを望まない。ちなみに糞オヤジの不幸なら全力で望むだろう。まぁあの怠惰で年がら年中笑っている糞オヤジが不幸になることなんて想像できないが。

 

そうやって僕は一通り考えた。

夜もまともに眠れず考えた。

この睡眠不足もあいつのせいだと思うと、今度あいつの安眠を妨害するために枕に画びょうでも仕込んでおこうと思った。

 

結局考えてもわからなかった。

母の気持ちなど僕がわかるわけがない。そう気づくのに一晩かかってしまった。

 

だから僕は今日の夜、母が帰ってきたら直接聞こうと思った。

「なんで働かないお父さんと一緒にいるの? 大変じゃない?」と。

 

でもそれを聞くことはなかった。

 

――その日の夜、母が病院に運ばれた。

 

夜に糞オヤジに電話があった。母が過労で倒れたという電話だった。

その後様子がおかしかったので、僕が父にどうしたの? と聞くと「お母さんが倒れてしまったでえ! 急いで様子見に行くから、お前もこいっさ!」父は珍しく少し慌ててそう言った。

 

僕はそんな父を見てさらに苛立った。

そんなに慌てるぐらいなら、もっと前から母をいたわれよ。お前のせいみたいなもんだろ。その場ではなにも言わなかったが、そう思った。

 

あー、この一件が終わったら、この糞オヤジを一発殴ろう。

そして言いたいこと全部言って、離婚になるならなればいい。母の様子を見に行くタクシーの中で僕は身体を揺られながら、静かにそう心に決めた。

 

タクシーが発進して十分後、病院に到着した。

そして驚くべきことに母と対面した父が開口一番こんなことを口にした。

「何をやっとるんでぇ! 自分の身体をいたわらんかい! 」

僕はその瞬間ブチ切れた。

気づいたら、オヤジの頬がはじけ飛んでいた。オヤジは背が低いので中学生の俺でもぶん殴れたのだ。

「ポテポテちゃん、急にどうしたの!? やめなさい!」

その光景を見た母が驚きながら僕を口で制止した。

「なんで止めるんだ! こんなクズは殴ったらいい! いや殴ったほうがいいんだ! こいつのせいでお母さんは倒れた! こいつも一緒に働いていたらお母さんは倒れなくて済んだんだ!」

そういって僕は激高しながら父の胸倉を掴む。

 

その瞬間だった。

「ポテポテちゃん、それは違うわ」

母が静かにはっきりとした声でそう言った。

「なんでっ! こんな毎日オラはオラはって言って、寝て食ってしてるやつが悪いに決まってる!」そういって僕は掴んだ胸倉を離さない。オヤジが泣くまで殴るのを僕はやめない!そんな気分だった。

 

「いいえ、違うわ。だってお母さんは好きで働いているんだもの」

「今回倒れちゃったのだって、自分が仕事を好きすぎるのがいけないの。お母さん、物を売る営業をやってるんだけどね、お客さんとお話したり、お客さんのために資料を作って、喜んでもらえるのがすごく幸せなの」

母は優しい顔でそう僕に伝えた。

「でもお金がないからでしょ! お父さんが働いて、お金があったらそんなに働かなくてもよかったはずでしょ!?」

 

僕のこの疑問に対して母はきょとんとした表情で答えた。

 

――「お金なら心配ないわよ? だってお父さん億万長者よ?」

 

その瞬間、僕の思考がストップした。壊れかけのパソコンが急にシャットダウンするような心地だった。

 

この糞オヤジが億万長者? このいつも食って寝てはオラはオラはと言ってる冴えないやつが億万長者? 億万長者じゃなくて怠惰マン長者じゃないのか? 僕は焦りのあまり大して上手くもない言葉が思いつく。

 

「オラのせいじゃねぇだんっ! だから殴らないでくんれーーーーー!」

中学生相手に悲鳴を上げるオヤジの姿がそこにはあった。ぶっちゃけちょっと涙目である。

 

とりあえず僕は落ち着いて、父の胸倉から手を離した。

「その話……ほんと……なの?」

未だに僕は疑心暗鬼で尋ねる。

「ほんとだあー。これ見てみろお。」

そういう父がちょっと自慢気にスマホの画面を僕に突きつける。そのにやけ顔を見ているととりあえず殴りたくなるのはもう長年の癖だった。

 

僕が見たスマホの画面は証券口座のサイトだった。

父の名義で資産の数字が書いてあり、それには無数の零が刻まれていた。頭の数字である一を除いて。

まじだった。

まじであの普段冴えない訛りまくりの父が億万長者だった。

 

「オラは昔からいってただろお? 仕事はしてもいいし、しなくてもいいんだあって」

「だからお母さんは仕事してるし、オラは仕事してないんだあ!」

固定観念に縛られず好きに生きるのが一番だあ!」

父はいつもながらの馬鹿そうな顔でそう言った。

 

「もちろんお金は大切だあ! でももっと大切なものもあるでんがらに! オラは若いころからお金を貯めたあ! オラは怠け者だからなあ! 働かないためにまずお金を貯めたんだあ!」

「そのおかげでオラみたいな身長の低い男でも、お母さんみたいなベッピンさんを嫁にもらうことができたでぇあ!」

そういう父の顔は相変わらずニヤニヤしていたが、母への愛情も多分に含まれてそうだったので怒らないでおこう。ちなみに母はちょっと照れ臭そうにしていた。

「ちょっと、お金に釣られたみたいな言い方やめてくださいね。お父さん、私はいつでも離婚してもいいんですよ?」

そう言う母に対して父は秒で涙目になっていた。そしてそれを見て満足気な母は冗談だと笑い飛ばしていた。

 

「相変わらずお母さんはこえーなあ! でもそこがいいんだなあ! ガハハ!」

「お父さんも相変わらずすぐ涙目になりますね。まぁそこが可愛いんですけど。フフフ」

和気あいあいな空間だった。

 

こうなるとさっきブチ切れて父を殴った僕だけが恥ずかしい。穴があったら入りたい。今だけはモグラにでもなりたい気分である。モグモグ!

 

「殴ってごめん……なさい」

さすがに謝らないわけにはいかないので謝る僕。

 

「いいんだあ! 不安にさせたオラたちも悪い! でも仕返しにオラも一発殴らせてもらってもいいかあ?」そこには謝る中学生を捕まえて仕返しをしようとする無職の姿があった。やはりクズである。そんなムキになるなよ……。

 

「ポテポテちゃんを殴るとかダメですよ。代わりに私があなたを殴ってあげますからこっちにきなさい」

「なんでそうなるんだあ! 勘弁してくれえ!」

そろそろ母にいじめられる父が可哀想になってきた。まぁこれはこれでいいバランスの主従関係なんだろう。夫婦で主従っていいのかは知らないが。

 

そして気づくと、空気が変わっていた。

ちょっと前までのバイオレンスな空気はなくなり、和やかな空気だけが残っていた。

 

「いいかあ! ポテポテも覚えとけえ! 仕事はしてもいいし、しなくてもいいんだあ!」

「それが選べることが重要なんだあ! 仕事も女も選べる男になれえ! それがオラからのアドバイスだあ! ガハハ!」

父はそう僕にいつもの訛りで言いながら笑った。

 

あーそうか。

父は怠惰などではなかったのかもしれない。

ただ選んだだけだ。自分が好きな方向を。

それが例え、多くの人と違う方向だったとしても、それが人から見たら怠惰に映るとしても。

ただ選んだだけだ。

だから怠惰とは違うのだろう。怠惰とはすべきことをなまけることだ。

父にとって仕事はすべきことではなかったのだ。

父は作り上げたのだろう。自分がすべきことを選択できるように。

僕や母を幸せにすることを、自分が幸せになることを、それこそがすべきことだと決めて、ただそうなるように選択したのだろう。

 

だったら僕もこれから選択しよう。

自分がすべきことをなまけないように。自分がすべきことを選べるように。

――そう、僕はやっぱり無職になりたいんだ。

 

――次の日の朝

「おい! もう十二時だぞ! オヤジ! 起きろ! 起きて早く僕の飯を作ってくれ!」

「んだー? それならそこのカップ麺でも食べればいいんだあ!」

 

「この糞オヤジ、やっぱり怠惰だ」

 

そう僕が思いなおすまで一日かからなかった。

 

(完)

 

終わりに

(恒例のあとがきです)

みなさんお疲れ様でした!

今回も面白かったですね!(自画自賛

 

モヒカンからの女の子救済エンドのワンパターンを脱出するために、今回は少し工夫しましたよ!

テーマは無職と家族愛ですねぇ。

いやぁ、また僕の引き出しが増えてしまったなぁ。

こうやって僕は着々と一流の小説家に近づくのであった……。

 

 

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